学童期とは、一般的に6歳から12歳までの期間を指し、子供の成長において非常に重要な時期です。
この時期には、身体的、認知的、社会的、情緒的な発達が著しく進みます。
この記事では、エリクソンの発達段階理論に基づき、学童期の年齢別発達課題について詳しく解説します。
各年齢における子供の発達課題を理解し、適切なサポートをすることで、子供たちの健全な成長を促すためのヒントを見ていきましょう。
エリクソンの発達段階の意味とは?
エリクソンの発達段階とは、
心理学者エリク・エリクソンが提唱した「人間の一生における心理社会的発達の段階」を指します。
この理論では、人は生涯を通じて8つの段階を経験し、各段階で独自の課題に直面し、それを乗り越えることで心理的に成長していくとされています。
各段階の課題を乗り越えることができれば、その段階に対応する「基本的信頼」を獲得することができます。
基本的信頼とは自分自身や他者、世界に対する信頼感のことです。
この信頼感は、その後の発達に大きな影響を与えます。
一方で、課題を乗り越えることができない場合は、その段階に対応する「基本的不安」となることがあります。基本的不安とは、自分自身や他者、世界に対する不安感のことです。
この不安感は、その後の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
エリクソンの発達段階の意味とは?
エリクソンの発達段階は以下の8つの段階に分かれています。
乳児期 (0-1歳)
- 課題: 信頼 vs 不信
- 説明: 乳児は親や養育者との関係を通じて、世界を信頼できる場所だと感じられるか、それとも不信な場所だと感じるかを学びます。
幼児前期 (1-3歳)
- 課題: 自律性 vs 羞恥と疑惑
- 説明: 幼児は自分の行動を自分でコントロールできるようになり、自立性を獲得しようとします。
幼児後期 (3-5歳)
- 課題: 主体性 vs 罪悪感
- 説明: 幼児は自分の行動に責任を持ち、主体性のある行動をしようとします。
学童期 (6-12歳)
- 課題: 勤勉性 vs 劣等感
- 説明: 学童は学校や地域社会で、自分の能力や知識を伸ばそうとします。
青年期 (12-19歳)
- 課題: アイデンティティ vs アイデンティティの混乱
- 説明: 青年は自分のアイデンティティを確立しようと努力します。
成人前期 (19-25歳)
- 課題: 親密さ vs 孤立
- 説明: 成人は他者と親密な関係を築き、愛や友情を育もうとします。
成人中期 (25-45歳)
- 課題: 生成性 vs 停滞
- 説明: 成人は社会に貢献したり、次の世代のために何かを残そうとします。
成人後期 (45歳以上)
- 課題: 自己統合性 vs 絶望
- 説明: 成人は自分の人生を受け入れ、意味あるものだったと感じようとします。
エリクソンの発達段階は、人間の成長を理解する上で重要な理論であり、心理学や教育の分野で広く活用されています。
学童期とは何歳から?
学童期は、一般的に6歳から12歳までの期間を指します。
この期間は、エリクソンの発達段階でいうところの勤勉性対劣等感の段階に相当します。
学童期は、身体的にも精神的にも大きな変化がある時期です。
身長や体重が伸び、筋肉も発達してきます。また、持久力や瞬発力も向上します。
精神的には、論理的思考能力や抽象的な思考能力が身につきます。
また、社会性も発達し、友達との関係を築いたり、グループ活動に参加したりするようになります。
学童期の発達課題は、以下のとおりです。
- 勤勉性対劣等感: この段階では子供が新しいスキルを学び、知識を獲得することを通じて、自信と自己効力感を育てることが重要です。一方で、失敗や挫折を経験すると、劣等感や無力感が芽生えることもあります。
- 自己同一性: 学童期は自己同一性を確立する重要な時期でもあります。子供が自分の価値観や目標を見出し、自分の役割や居場所を見つけることが大切です。
- 社会性: 学童期は社会性の発達も著しい時期です。子供が友達との関係を築いたりグループ活動に参加したりすることで、社会規範やルールを学び、他者との協調性を養います。
学童期は、子供の成長にとって重要な時期です。
この期間に適切な教育や環境を提供することで、子供の健全な発達を促すことができます。
学童期の重要性
学童期は、子供が自分の周りにある世界観を構築し、重要な能力を養うために、あらゆる種類の経験を積むことが必要です。
学童の重要な発達課題を以下に示します。
- 身体的成長: 子供たちはこの期間に身長と体重が急速に増加します。また、運動能力や協調性も向上します。
- 認知的成長: 批判的思考、問題解決、創造的思考の能力を発達させます。また、言語能力と知識も向上します。
- 社会・感情的成長: 他者との関係を構築し、自分の感情を管理する方法を学びます。また、共感、責任感、独立性も発達します。
これらの課題に取り組むことで、子供たちは、人生の次の段階である青年期に備えることができます。
親と教師は、子供たちがこれらの重要な発達課題を達成するのをサポートするために重要な役割を果たします。
学童期の発達段階
学童期は、一般的に6歳から12歳までの時期を指します。
この期間は、身体的、認知的、社会情緒的な発達において大きな変化が見られる重要な時期です。
各年齢における主な発達課題
- 6歳: 読み書きの習得、ルールへの理解、友達との協力関係の構築
- 7歳: 論理的思考能力の発達、集中力の向上、独立心の芽生え
- 8歳: 想像力と創造性の開花、自己コントロール能力の向上、社会規範の理解
- 9歳: 抽象的思考能力の発達、他者の視点の理解、責任感の芽生え
- 10歳: 協調性とチームワークの向上、自己評価能力の発達、道徳観の形成
- 11歳: 批判的思考能力の発達、友情関係の深まり、将来への展望
- 12歳: 独立性と自立心の確立、進路選択の意識、社会貢献への意欲
これらの発達課題は、個人によって異なるペースで進みます。
また、各年齢における発達課題は、次の年齢の発達課題へとつながっています。
学童期はさまざまな経験を通して知識やスキルを学び、社会性を身につける重要な時期です。
親や周りの大人が子どもの発達段階を理解し、適切なサポートをすることで、子どもの健全な成長を促すことができます。
6歳の発達課題
6歳は学童期に入る最初の年です。
この年頃の子どもたちは、身体的にも精神的にも目覚ましい成長を遂げます。
6歳になると、ほとんどの子どもは身長と体重が大きく増加します。
手足の筋肉の制御力が向上し、より複雑な運動ができるようになります。
たとえば、片足で跳ねたり自転車に乗ったり、縄跳びをしたりできるようになるでしょう。
認知的な発達
6歳児の認知能力は大きく発達します。
論理的に考えて問題を解決し、新しい情報を学ぶことができるようになります。
また、想像力も豊かになり、創造的な遊びを楽しめるようになります。学校の授業で読み書きや算数の基礎を学び始める年齢でもあります。
社会情緒的な発達
友達と交流したり協力したりできるようになります。
共感力を発達させ、他人の気持ちを理解できるようになります。
また、自分の感情をコントロールすることもできるようになります。
6歳の発達課題
6歳になると、子どもたちはさまざまな発達課題に直面します。
これらの課題には、以下のようなものがあります。
- 独立性:親や大人からより独立したくなり、自分でできることが増える。
- 責任感: 自分の行動に責任を持つことを学び始める。
- 社会性:友達と交流したり、協力したりできるようになる。
- 学業: 学校の授業が始まり、読み書きや算数の基礎を学び始める。
7歳の発達課題
運動能力は、この時期に大きく向上します。
走る、跳ねる、投げる、キャッチするなどの動作がスムーズにできるようになり、複雑な動きもできるようになってきます。また、バランス感覚や協調性も発達します。
7歳頃から、子どもたちの認知の発達も大きな変化が現れます。
この時期の子どもたちは論理的に考えることができるようになり、問題解決能力も向上します。また、想像力も豊かになり、創造的な遊びを楽しむことができます。
- 言語能力: 語彙が増え文章も複雑になる。読み書きの能力も発達する。
- 数学的能力: 数を数える、計算する、図形を認識するなどの能力が向上する。
- 記憶力: 短期記憶と長期記憶の両方が発達する。
- 思考力: 論理的に考え、問題解決する能力が向上する。
7歳頃になると、子どもたちの社会性と情緒も発達します。
友達と協力して遊ぶことができるようになり、ルールを守ったり人の気持ちを理解したりすることもできるようになってきます。
また、自分の感情をコントロールすることもできるようになってきます。
この時期に、様々な能力を身につけ、将来の成長の基礎を築くことが大切です。
8歳の発達課題
8歳は学童期の発達段階において重要な時期です。
8歳の子供たちは、身体的、知的、社会性と情緒の3つの領域で大きく成長します。
身体的発達では、運動能力が向上し、体力が増加します。また、永久歯が生え始めます。
知的発達では、論理的思考能力が向上し、想像力と創造性が発達します。読解力と作文力も向上します。
社会性と情緒の発達では、友達との関係を築き、ルールを守り、感情をコントロールすることを学びます。また、道徳観も発達します。
これらの発達課題は子供たち一人一人によって異なります。また、環境や経験によっても影響を受けます。
しかし、これらの課題を乗り越えることで、子供たちは自立し、社会生活を送るための基礎を築きます。
親や教師は子供たちの発達をサポートするために、子供たちの興味や関心を尊重し、挑戦を応援し、失敗を許容し、コミュニケーションを大切にすることを心がけることが重要になります。
9歳の発達課題
9歳になると子どもたちは学童期の初期段階に入り、さまざまな発達課題に取り組むようになります。
これらの課題は、身体的、認知的、社会的、感情的な領域に及び、個人の成長と成熟に大きく貢献します。
身体的には運動能力と調整力が向上し、より複雑な身体的スキルを習得するようになります。また、性差による差異が顕著になり始めます。
一部の子供は、第二次性徴の初期段階を経験し始めます。
認知的には、論理的に考えて問題を解決し、抽象的な概念を理解する能力が向上します。
言語能力が発達し、語彙が増え、複雑な文章を理解し構成できるようになります。
記憶力も向上し、より多くの情報を記憶し、想起できるようになります。
社会的には、友人関係の重要性を理解し始め、より深い友情を築くようになります。
協力と妥協を学び、チームワークで活動できるようになります。
社会規範とルールに従うことを理解し始めます。
感情的には、自己認識と自己表現能力が高まりより幅広い感情を経験するようになります。感情をコントロールし、適切に表現する方法を学びます。
共感力が高まり、他人の気持ちや考えを理解できるようになります。
9歳児の発達は個人差が大きく、これらの課題に取り組むペースはそれぞれ異なります。
しかし、上記のような課題に取り組むことは、子供たちが健全な心身の発達を遂げるために重要です。
10歳の発達課題
10歳になると、学童期の後半に入り、身体的にも精神的にも大きな変化を迎えます。
この頃の子どもたちは、より独立した存在となり、自分の考えや意見を明確に持ち始めるようになります。
また社会性も発達し、友達との関係を大切に考えるようになるでしょう。
10歳の発達課題は以下のようになります。
- 身体的発達: 体格が変化し筋肉がつき始める。運動能力も向上し、スポーツやダンスなどを楽しめるようになる。
- 認知発達: 論理的な思考能力が高まり、抽象的な概念を理解できるようになる。また、記憶力も向上し、より多くの情報を覚えることができる。
- 社会性: 友達と協力して遊ぶことが楽しくなり、リーダーシップを取ることもできるようになる。社会規範を理解し、他人を尊重できるようになる。
- 情緒: 自己認識が高まり、自分の感情を理解できるようになる。他人の感情にも敏感になり、共感できるようになる。
親や教師は、10歳の子どもたちの発達課題を理解し、サポートすることが大切です。具体的には以下のような方法があります。
- 子どもの意見に耳を傾け、尊重する。
- 子どものチャレンジを応援する。
- 社会的な経験を積む機会を提供する。
- 子どもの感情を理解し、共感する。
10歳は子どもの発達が大きく変わる重要な時期です。
親や教師が適切なサポートをすることで、子どもたちは健やかに成長することができるでしょう。
11歳の発達課題
この時期には様々な発達課題に直面します。
身体的には、身長や体重が急速に伸び、運動能力が向上します。
第二性徴が始まり、身体的変化が現れるのもこの時期です。
精神的には、思考力が向上し、論理的に考えることができるようになります。
抽象的な概念を理解できるようになるのもこの時期です。
友達関係が複雑になり、仲間意識が強くなります。
独立心が芽生え、親から自立しようとするのもこの時期です。自己意識が高まり、自信や不安を感じるようになります。
社会的には、学校生活がより重要になり、勉強や部活動に熱心になります。
友達との関係が深まり、様々な価値観に触れます。
社会問題や環境問題に関心を持ち始めるのもこの時期です。
情緖的には感情が豊かになり、喜びや悲しみ、怒りなど様々な感情を経験します。
友達や家族との関係に影響を受け、不安やストレスを感じることもあります。
自我意識が高まり、自分の価値観や将来について考えるようになります。
学童期後半の発達課題としては、身体的変化や第二性徴への理解、自立心や独立心の育成、友達関係の構築と維持、社会問題や環境問題への関心、自己意識の確立と将来の展望があります。
11歳は様々な変化を経験し、自分自身を見つめ直す重要な時期です。
保護者や周りの大人たちは、子供たちの悩みや不安に寄り添い、適切なサポートをすることが大切です。
12歳の発達課題
12歳は学童期の中でも、特に大きな変化を迎える時期です。
身体的には、思春期が始まり、第二次性徴が始まります。
また、認知能力も飛躍的に発達し、抽象的な思考や論理的な思考ができるようになります。
この時期の代表的な発達課題は、以下の通りです。
- 身体的変化への適応:思春期の始まりに伴い、身体に様々な変化が起こる。身長や体重が伸び、体毛が生え、声が変わり、月経が始まる。これらの変化に戸惑ったり、不安を感じたりする可能性も大きい。
- アイデンティティの形成:自分は何者なのか、何をしたいのか、将来どうなりたいのかなど、自分自身のアイデンティティを形成し始める。友達との関係や将来の夢など、様々なことに興味を持ち、自分自身を模索する時期に入る。
- 社会性の発達:友達との関係を深めてルールやマナーを学び、社会の一員としての責任感を持つようになる。また、異性への興味も芽生え始め、恋愛感情を持つことも増えてくる。
- 学力の向上:小学校から中学校に進学し、より高度な学習内容を学ぶ。抽象的な思考や論理的な思考ができるようになるため、理解力も深まり、学力も向上していく。
これらの課題を乗り越えるためには、以下のことが大切です。
- 家族や友達とのコミュニケーション:身体的変化やアイデンティティの形成など、様々な悩みを抱える時期です。家族や友達に相談し、理解してもらうことが大切です。
- 自分の興味や才能を伸ばす:様々なことに興味を持ち、自分自身を模索する時期です。自分の興味や才能を伸ばし、将来の夢に向かって努力することが大切です。
- 社会の一員としての責任感を持つ:ルールやマナーを学び、社会の一員としての責任感を持つことが大切です。
12歳は、心身ともに大きく成長する時期です。これらの課題を乗り越えて、健やかに成長するようサポートしてあげましょう。
まとめ
学童期は、子供が重要な発達課題に取り組む時期です。
身体的な成長だけでなく、認知的、社会的、情緒的な発達も大きく進みます。
エリクソンの発達段階理論を参考に、各年齢に応じた発達課題を理解し、適切なサポートを提供することで、子供たちが健全に成長し、将来の社会で活躍できる力を養うことができます。
親や教育者が子供の発達段階を理解し、積極的に支援することが重要です。


